遁天の刑とは、人間が天地自然の道理に順わず、逆らう生き方をすることにより、反作用として被る罰(天罰)のことを申します。
奇門遁甲は本来例えば裏口入学的な抜け道を保証するものではなく、薬剤のように病状を緩和したり、自然療能を促進して治癒を早める働きをします。
したがって使用するご本人の努力を前提としますし、過去に積み上げた業因の結果が出るのを早める働きをするものです。
薬剤の効き目が体質による個人差に左右されるのと同様、奇門遁甲による命運改善の効果もご当人の本来的命運の延長線上で発現します。
奇門遁甲が天地自然の道理の化体、もしくは天地自然の道理の一部であることから、それに逆らわず主体的に順う行為としての吉方活用の実践は何ら天罰をもたらすことはありません。
この点を門外の方は誤解されている場合がございます。
『荘子』養生主篇において遁天の刑とは、天地の理法(西洋的にはロゴス)は冷厳で、人間の情を拒絶するものだから情緒的行動は意味がない、といったニュアンスで語られています。
しかしながら、人間の情愛的側面は実社会で無視出来るものでなく、これも一つの天地自然の道理を表象するものです。
したがって、愛なき行動が遁天の刑を生むことはむしろ因果律・仏教の縁起の法に照らし明らかです。
畢竟、『荘子』における遁天の刑は一知半解の説であり、私どもは到底受け入れることは出来ません。
奇門遁甲による功徳も、神仏の愛・慈悲の現れであるのでございます。
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